五月のある日、僕は仕事の面接をドタキャンした。
理由はあえて書かないが理由はある。当たり前の話だが、少し気が滅入っていた。
一応のスーツ姿だ。午前中の渋谷でぼーっと街の流れを見ていた。
さて今日は一日暇となり、だ。どうするか。
こんな時に呼び出せるのは眼鏡屋の店長をやっていて、平日が休日の山猫太郎だけだ。
さっそく電話して「遊ぼう。奢れ」と無理なお願い(命令)をしてみる。
暇していたらしく、即OKが出た。
こうやって遊んでくれる人がいると、なかなか仕事につく気にはならない。
で、どこで遊ぼうかと話してみると、
「温泉がいい」と電波な答えが。「穣ちゃん、そいつは遠すぎないか?」と冷静に流すと、
「観音温泉ならいけるだろうが」と反撃された。
観音温泉! そうか、ならいけるなぁ。
浅草観音温泉。
東京にはあまり知られていないが、実は隠れて温泉がチラホラある。
麻布十番温泉、新宿十二社と並んで、東京ディープスポットとして愛されている。
浅草寺の観音様の裏手、花やしきのすぐ側に温泉があるなんて、みんな意外と知らないものだ。
山猫と僕は高校時代よくつるんで遊んだメンバーの残党なのだが(今はバラバラだ)、
観音温泉も高校時代に、浅草で遊んでいた折りに、偶然見つけた場所だ。
それから時々、お湯に入りに行って、そろそろ8年近い馴染みの温泉。
そこというのならば二つ返事でOK!
というわけでやって来ました、浅草仲見世通り!
と、雷門に提灯がない。どうやら張り替えで8月まで下ろしているとのこと。
ふーむ。あの大提灯がないと雷門も随分寂しげだ。
かわりに普段は空が見える仲見世通りにアーチが付いていた。
こんなのいつできたんだろう?
いつもと様子の違う浅草に少し戸惑う。
それでも仲見世を抜けて、本堂に向かう辺りでは、さすがに浅草にいるという気分がしてくる。
よし、ここで相棒の出番だ、と鞄から奴が。
そうこんなときも一緒でした。
観光客やら地元民やらで賑わう平日の浅草に、8ビットマシンがやって来ました。
いろいろ見られましたが、ここでハリは吹っ切れました。
どうせ馴染みの浅草だ。江戸に三代暮らした江戸っ子のハリ様だ。
恥ずかしくあるめい!
おっ今日は本堂が開いてる。
では本堂にお参りして……とその前に煙にいぶして貰う。
これって身体の悪い部分に当てろと言われてるけれど、大体の人って頭に当ててる。
みんな自分が悪いと思っているのかしらん。
腱鞘炎の山猫は手に当てていた。眼鏡屋も大変だ。
本堂でのお参りを済ませて、
御神籤なんか引いてみるファミコン君。
と思ったのだが十時キー+4ボタンなんかじゃ、御神籤は引けません。残念。
しかし平日だというのに人が多い、仲見世通り。
ちょうど修学旅行の時期なのか、中高校生の集団が多い。
外国人もちらほら。混沌としてるなぁ。
裏道に入ったところにある江戸切子のお店で、おっちゃんに訊いてみると
今週末から三社祭りだそうだ。そしたらもっと混むだろうな。
ところで今やってるNHKの朝の連ドラは浅草が舞台なのだが、
その中で使われている三社祭りの映像は真冬に青年団を集めて撮影したらしい。
寒かったろうに。江戸っ子は寒さに弱いです。
さて浅草寺はこれくらいにして、浅草六区に行ってみましょう。